昔は近所に当たり前にあった八百屋や肉屋、魚屋など。
今では一部の商店街を除き、見かけることが少ないように思います。
共働きや核家族化が進む現代は、夜遅くまで営業し、まとめて買い物ができる大型スーパーを利用する方がほとんどなのではないでしょうか。
買い物は、時間が勝負。
そんな風潮になりつつあるこの頃かもしれません。
でも、ふと思い出してみてください。
おこづかいを握りしめて、初めて買い物に行ったときのワクワク感。
数ある商品を目の前にして、どれにしようか思い悩む贅沢なひととき。
お店の人とのたわいない会話にホッコリする気持ち。
今回は、そんな風に買い物が楽しくなる八百屋さんをご紹介したいと思います。
幹線道路沿いにある、ひときわ目立つ八百屋さん
訪れたのは、「遠慶青果店」(※以下「遠慶」)という八百屋さん。
東急田園都市線の駒沢大学駅から徒歩約7分。国道246号と駒沢通りが交わる交差点にあります。
車道からも目立つ立地のため、以前から気になっていたこちらのお店。
いつもお客さんがたくさん訪れ、にぎわいをみせています。

文政8年からの古い歴史
実はこちら、創立が70年以上という老舗中の老舗八百屋。
陽気な社長から家系図を見せていただいたところ、江戸時代から屋号を守ってきた問屋で、分家として継いできたお店ということを知りました。
そのまた昔、すぐ脇を通る幹線道路には川が流れ、舟で果物を輸送していたといいます。

文政8年の創立以来の看板(途中関東震災で焼け、まったく同じものを再製)が店内に飾られていました。
老舗の重みを感じますね!
商品の種類の多さに圧倒

店内を見渡してみると、野菜や果物の種類の豊富さに圧倒!
葉物やトマトも、こんなにたくさん種類があるんです。
どれにしようか、時間をかけて選ぶ楽しみに浸ります。
手書きで書かれた黄色い値札は、シンプルで見やすいですね。

マッシュルーム、なめこ、平茸に舞茸、エリンギなど。
きのこだけでもオールスターさながらに陳列されています。
お子さんも物の名前を覚えるよい勉強になりそうですね。

青果の知識豊富な店員さん

「遠慶」は社長を中心に、その娘さん、社長のお姉さんと家族で切り盛りされているアットホームなお店。お客さんが多いのはもちろんですが、店員さんの数も多いのが特徴です。
皆さん青果の知識をしっかり身につけて店頭に立たれているとか。
お客さんからの問い合わせに対し、若い店員さんもてきぱき応答しています。
一番混むのは午前中で、お客さんが店内の通路に列を作ってレジ待ちをすることも。
慣れたお客さんは、メインの野菜を通路側でピックし、後は真ん中の通路でレジ待ちをしながらカゴに追加分を放り込んでいきます。
店内はそう広くはないのですが、移動しやすい動線のせいか不便さを感じません。
店内はお買い物しやすいレイアウト

もともと果実問屋であったということからか、店内のレイアウトがどこか問屋的な配置であることに気がつきます。
段ボールやカゴで高さを出し、そのままカゴを並べて商品を売るスタイル。
スーパーのような商品棚や冷蔵ケースはありません。
無造作なようでいて、野菜や果物の種類ごとにキチンと配置され、何がどこに置いてあるか非常に見やすい!
日常的に需要のある野菜は通路側に配置されていたりと、こまかい配慮も怠りません。
お店の看板女将さん
作業の手を止めずに店内を移動しながらも、楽しくお話を聞かせてくださったのは、社長のお姉さん。
明るく気さくで、お店の看板女将さんともいえる存在です。
お店のインスタグラムにもよく登場していますよ!
撮影と聞くと、季節の菜の花やせりを選んで手に取り、一緒にパチリ。大事な商品の宣伝も欠かしません。
昔の歴史や楽しいお話がうかがえるかもしれませんので、見かけた際はぜひ声をかけてみてください。

いつも買いに来てくれるお客さんのために
野菜価格高騰にともない、最近スーパーなどでは軒並み値上げ合戦が繰り広げられています。
ところがこちら「遠慶」では、ほとんどの野菜が良心的なお値段。
「そりゃあもう赤字覚悟よ!」と女将さんが話します。
いつも買いに来てくれるお客さんに対して、どうしても高すぎる物を売りたくないという思いで、社長は今日も忙しく安値で仕入れられるところを飛び回っているそうです。
安くて新鮮な青果に惹かれ、私もついつい爆買いしてしまいました!

日替わりで、地元の世田谷野菜が仕入れられることも。
珍しい青果も販売

かぶや大根もこんなにいろんな種類・形があるとは!普段スーパーの品揃えしか見たことのない人には、ちょっとした青果博物館のようですね。
お買い物の楽しさを味わえます。

もぎりきゅうりを発見。
1パックの中にたくさん入っていて、お値打ち価格。
浅漬けや輪切りにして、おいしく食べられそうです。

茄子だけでもこんなにたくさん種類があります。

お菓子や乾物なども充実しています。
こちらの産直卵は大きくて黄身の色も鮮やか。
オレンジ色の卵焼きが作れます!
さすがの元果物問屋

果物の種類も充実しています。
彩りがキレイですね。
ただの「みかん」「オレンジ」表記ではなく、銘柄が書かれているので、選びやすいです。
メディアにも登場
過去にはテレビメディアでもたくさん取り上げられたそうです。

最近は某お笑い芸人のYouTube取材も受けたとか。
お店を知って、いろいろなお客さんが来てくれるとよいですね。

世代を超えて、想いをつなぐ
社長の小学生のお孫さんの夢は「八百屋さん」だそうです。
たまに店頭に立ってお手伝いすることもあるとか。小さな店員さんにぜひ会ってみたい!

江戸時代から続く老舗の重みを引き継ぎつつ、また新しい世代へと代替わりしても愛され続けてほしいお店でした。
遠慶青果店
住所:東京都世田谷区駒沢3丁目1‐1
アクセス:東急田園都市線「駒沢大学前駅」から徒歩約7分
TEL:03-3414-6063
営業時間:10:00-18:00
定休日:日・祝・水