伝統野菜「品川蕪」の収穫を祝う「品川蕪品評会」が品川神社で開催!

毎年12月に開催される、品川蕪品評会。
街中に大きな蕪のイラストをあしらったポスターが貼られ、どんなイベントだろうかと興味をそそられます。

2024年の品川蕪品評会は12月22日に開催されました。今回はその様子をご紹介します。

品川蕪品評会は品川神社で開催!

品川蕪品評会は毎年、京急線新馬場駅北口正面の品川神社境内で開催されます。
境内に行くには、53段もある長い石段を上らなければなりません。

観光客や品川神社にあまり来ない人は、高台の中腹にある「登山道」を通り、石柱を見て回りながら頂上をめざしていました。
品川神社がある場所には、昔から「富士塚」と呼ばれる人工の山があって、富士山のような五合目、七合目といった石柱まで立っています。
ここに来れば富士山に登るのと同じご利益があるといわれているんです。

石段を上りきると、いよいよ品川蕪品評会が開かれている境内に着きます。
たくさんののぼりが立ち、子どもから大人まで多くの見物客が詰めかけ、境内はとてもにぎやかでした。

品川神社は勝負の神様として有名

こちらは品川神社の社殿。品川蕪品評会の来場者がお参りに来ていて、参拝客の行列ができていました。

品川神社は東海七福神の一社として、大黒天を祀っています。大黒天は金運上昇の神様なので、金運アップに特にご利益があるそうです!

品川蕪品評会の由来とは?

品川神社境内に掲示がありましたが、イベント受付の方に話をお聞きすることができました。

品川蕪は文化元年(1804年)、農事などについて編纂させた博物誌『形成図説』に描かれ、品川宿を代表する野菜だったと推測されています。
江戸から昭和中期まで「江戸東京野菜」の一つでしたが、農地の減少のほか、収穫量が少なく栽培に手間がかかることもあり、一時はその姿が消えかけたこともありました。
しかしながら、貴重な江戸東京野菜を復活させる機運が盛り上がり、2012年に品川蕪品評会が初開催。2024年には11回目の開催を迎えたそうです。

脚が生えてる!? 個性的な蕪の数々

このイベントの趣旨は、年に一度の品川蕪の収穫を祝うこと。
品川蕪を育てた方々の、大きさも形もさまざまな蕪がずらりと並んでいました。

おもしろい形の蕪には、特に子どもたちが歓声をあげながら集まっていました。
真ん中の蕪、ちょっと人の顔っぽく見えませんか?
顔がついた蕪に、手も生えているように見えて、なんとも愛らしい姿になっています。

右から3番目の蕪は、お尻が付いているように見えてきました。
「お尻」からは2本の「脚」も生えており、ポーズを決めているようにも見えますね!
ほかにも、「脚」が生えているように見える蕪がいくつもあって楽しめました。

不揃いな蕪の秘密とは?

品川蕪品評会に並んでいる蕪たちは、どれもスーパーで売っているような整った形をしていない、個性的な品ばかり。
どうして、こんなに不揃いなのか、受付の方が教えてくれました。

実は、品川区には農地はまったくありません。
この品川蕪は、食育活動のため品川区立の小・中・義務教育学校や区民農園、福祉施設などに配布された品川蕪の種から育ったもの。

なんと家庭の庭で育った品川蕪もあるんだとか。
そのため、サイズが小さく、大人の指くらいの大きさの蕪もありました。

品川蕪を保存したいという、それぞれの栽培者の思いが感じられて、いとおしくなりますね。

メインステージでは表彰やクラフトビールのお披露目

こちらは、入賞した蕪が表彰されるメインステージです。
品川蕪は、一般的な丸い形の蕪とは異なり、大根のように細長いのが特徴です。
専門家が審査員として招かれ、品川蕪らしいサイズや形をしたものが選ばれるとのこと。
脚が生えたように見えるユニークなものは「審査員から見ると、どうでしょうかね(笑)。」と受付の方。
今回はさらに、品川蕪を使ったクラフトビール「しながわカブが上がるエール」のお披露目式も実施されており、試飲コーナーにも多くの人が集まっていました。

品川蕪入りの品川汁の振る舞いも!

来場者を喜ばせていたのは、何といっても品川蕪を使った「品川汁」の振る舞いです。
冬の具材として人気の蕪ですが、貴重な品川蕪が使われているとあって長い行列ができていました。
寒空の中、待ちに待って味わう品川汁の温かさは格別!
仕込みに相当の手間をかけてくれているのが分かる、だしのしみ込んだやさしい味わいでした。

品川の町おこしイベント「品川蕪品評会」に注目!

冬のお味噌汁の定番の具材である蕪に、町おこしや食育の願いを込めて開催されている「品川蕪品評会」。
昔ながらの栽培方法を受け継ぎたいという思いを込めて栽培している人たちの思いの結晶が、展示された蕪に現れていてとても共感できました。

品川蕪の多くは自家用のようですが、一部の青果店では取り扱いがあるようです。
もし、販売しているのを見かけたらぜひ手にとってみてください!

品川蕪品評会(品川神社)
住所:東京都品川区北品川3丁目7-15
アクセス:京急本線 「新馬場」より徒歩約1分
電話:03-3474-5575(品川神社社務所)
営業時間:無(品川神社社務所受付時間9:00‐17:00)
定休日:不定休
駐車場:なし
その他:品川蕪品評会のお問い合わせは、特定非営利活動法人東海道品川宿なすびの花(090-1885-2176)まで

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。